2012年05月26日

雑誌『Bollocks』

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『Doll』が無くなってからずいぶん寂しい思いをしていましたが、
(といっても後半は立ち読みばっかでしたが・・・)このたび、
Dollで編集をしていた人が編集長になって久しぶりにガチPunk系
雑誌が創刊されたとのこと。

隔月刊でVo.2が出ました。
隔月15日発売。
表紙とかもろにDollを彷彿させますね。デザイナーさん同じなんでしょう。

末永く続いてほしいと思いますので、サポートするためにも定期的に
購読したいと思います。

Punks Not Dead.

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2012年04月07日

『HUNTER×HUNTER』30巻

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いやー、感動した。
描き始めて10数年、広げに広げた蟻編で読者も落としどころ
見失ってるのではとすら思っていた。

まさか、ここに来て。
こんな劇的な終わり方をするとは。

未曽有のバイオハザードで始まったキメラアント編は、
人類の、いや生命の尊厳を問う命題に昇華されて終幕した。

王の最期としては、最高の終わり方だったように思う。
電車で読んでて思わず目頭が熱くなって堪えた。
主人公サイドを脅かす敵役として、これほど強大で
これほど含蓄のあるキャラクターがいただろうか。
巻のタイトルにもなっている「返答」はハンター×ハンター
屈指の名話として記憶に残ることでしょう。

王とコムギ、ウェルフィンやブロヴーダたち元NGL組、
コルトとレイナの兄弟、そしてカイトの話と伏線の回収も
上手い落としどころでまとめられていたのも良かった。

冨樫の力量には驚かされる。
待った甲斐あった。
今やジャンプ掲載漫画は年齢的になかなか
読もうとは思わないが、これだけは別。

今の心配はこれだけ密度の濃かったキメラアント編の次の章が、
これを超えられるかどうかということだけです。

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2011年11月16日

『リアル』11巻

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野宮のトライアウトが主軸。
また野宮の意外な少年時代のエピソードも入ります。

野宮にはいつも力をもらいます。
井上雄彦作品って他は全然読もうと思わないけど、これだけは大好き。

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2011年10月31日

池井戸潤『空飛ぶタイヤ』

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こちらも一気に読んでしまった。
2002年に起こった横浜母子3人死傷事故と三菱自動車
(現在の三菱ふそう)が行ったリコール隠しをモチーフにした
社会派ドラマ。

終始息をつかせぬ展開で、最後までヒリヒリした緊張感を持った
重厚なドラマに息苦しくなるほど。
特にこれでもか、と追い込まれる主人公の赤松運送の社長に
深く感情移入してしまうため、先の展開が気になって仕方がなかった。

作者の筆力の見事さは財閥系大企業における、人間性の腐敗と
自己保身の醜さを見事に描ききっている。

しかしもちろんフィクションとしての脚色は行われているとはいえ、
実際に起こった事件であり事故の被害者遺族、事故の容疑をかけられた
運送会社の心情を察するとやるせない思いになる。

最後まで読むのがつらくなるほど、物語に引き込まれた。

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2011年10月28日

池井戸潤『下町ロケット』

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面白かった。400ページ一気に読んでしまった。

東京の下町にて従業員200人の町工場を経営する主人公。
かつて宇宙科学開発機構にて衛星打ち上げロケットの
水素エンジンを開発する技術者だったが、ロケット打ち上げ
失敗により研究所を追われ、地元に戻り父が遺した会社を継ぐ。
その会社に降りかかる危機と、モノづくりにこだわる技術者たちの
仕事への情熱を描いた人間ドラマ。

前半・後半と2部構成に分かれており、前半は大口取引先から不況を
理由に一方的に取引を打ち切られ、競合のライバル大手企業から
技術特許侵害の訴訟を起こされ、メインバンクから融資を断られる。
絶体絶命の危機に陥った会社を救うため、社長と社員たちによる
懸命の戦いが始まる。

後半は会社が取得した特許技術が大手企業によるロケット開発計画
に先んじていたため、ビジネスを重んじた大手企業が特許技術を
買収しようとあれこれと画策し、それに対し主人公たちはモノづくりの
技術者としての誇りをかけて真っ向から立ち向かう。

ロケット水素エンジンの話とかなり理系のテーマを扱いながらも、
専門用語はできるだけ控えて門外漢の人間にもわかり易く配慮しつつ、
物語のフックになるところでテーマを効果的に機能させるのに成功している。
このバランス感覚が素晴らしい。
理系テーマと見せかけて、実は普遍的な人間ドラマであり、ドラマチックに
話を転換させるエンターテイメントな作品。
これは直木賞受賞も納得の完成度。

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2011年09月28日

エンド・オブ・ザ・ワールド

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「この曲なんてえの?」
「“世界の果てまで”」
「ふーん
 かったるいメロディ」

オレは長らくR.E.M.の
「It's the End of the World as We Know It (And I Feel Fine)」
の事だと思っていました。

イースはいいよな。うるさい。黙れ。

岡崎作品で一番好きなのは「水の中の太陽」です。
救いが全くないから。
オレ以外の人間が幸せな話は嫌い。
オレは永遠に地獄這っているのに。
だから救いのない話は大好きです。

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2011年08月04日

『HUNTER×HUNTER』29巻

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ゴンさん・・・?アナタ主人公・・・ですよね?
蟻の王なんかより、アンタの方がよっぽど恐ろしいわ。

前巻でのネテロvs王の決着をうけ、本巻ではいよいよゴンvsピトーの
対決が始まります。
ジャンプ未読者には圧倒的に意外な展開が。

冨樫頼む。時間かかってもいいから続けてくれ。
面白すぎる。

余談ですが本巻の表紙はネテロと百式観音。
内容的に前巻で使った方が良かったのでは?と思いました。

UNTER×HUNTER 笑

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2011年07月07日

『HUNTER×HUNTER』28巻

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長い間待たせて2ヵ月連続コミックス発売って
どんだけツンデレなんだよwww

・・・面白いじゃねーかよ、コラ。
伏線回収するねぇ。

来月が凄まじく待ち遠しいぃぃぃぃぃ!

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2010年12月28日

落合尚之『罪と罰 A Falsified Romance』

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以前から気になっていたのですが、ようやく読み始めました。
ドストエフスキーの同作を現代版にリメイク。なかなかうまく料理しています。
読んでいて気付いたのですが、吉田修一の『悪人』も同じですね。よく似ている。

弥勒の行動に理解ができないとかで読み手の意見が分かれる作品ですが、
個人的にはいいと思います。
引きこもりのニートの哲学なんて、しょせん机上の理論。
現実世界と乖離していて当たり前です。愚地独歩じゃないんだから。

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2010年07月13日

奥田英朗『イン・ザ・プール』

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美しい装丁。精神科医・伊良部シリーズの記念すべき第1弾。
表題作の「イン・ザ・プール」につきます。良く出来てる。
おそらくこのプロットができて書き始めたんじゃないでしょうか。

その反面、「コンパニオン」「フレンズ」はいまいち。
「フレンズ」なんてつまんないので途中で読むのやめて飛ばしました。
「邪魔」のときも思ったけど、著者は若者の表現が古い。
今どきの高校生をもっとよく研究してから書いて欲しい。
言葉使いや行動がありえなすぎて白けた。
「コンパニオン」もいかにも頭で考えた話で偏見に満ちていて、
人物像にリアリティがなく薄っぺらい。

続く「空中ブランコ」に比べて、まだまだムラが残る1冊。
とはいえ表題作だけでも読む価値ありです。

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2010年07月07日

奥田英朗『空中ブランコ』

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結構笑かされました。精神科医・伊良部シリーズ。
同著者の「最悪」「邪魔」のような緊張感ある作風から一転、なんとも
ゆるい味わいのライト・コメディ。

精神科医・伊良部もとを訪れる、風変わりな病気の患者達。
ジャンプできない空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、一塁への送球が
出来なくなったプロ野球選手・・・それぞれ実にへんてこな、でも
本人にしてみれば死活問題なこころの病を抱えて伊良部の扉を叩く。

そこにいるのは、心の悩みなど全く無縁な自然児の医者。
精神を病む人間と対象の人物。
患者の気持ちなど一生わからんでしょう、この人。
ずけずけと物を言い、ろくに治療もせずに患者を巻き込んで遊びだす。
精神年齢が小学生(笑)。いや、いまどきの小学生の方がもっと大人ですね。

しかしこれが実にいい。病んでいる人間の方が馬鹿らしくなる。
なるほど、自分がはまってしまった穴はずいぶんちっぽけで
つまらん物だったのかと、ふっと肩が軽くなる。
逆説的な治療を、狙うでなく天然で出来てしまう迷医。

各話の終わりには、なんかすっきりした読後感があって心地よいですね。
煮詰まった現代人に最適でしょう。
一服の清涼剤?ガス抜きにピッタリの作品です。

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2010年06月28日

『どちらかが彼女を殺した』東野圭吾

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おなじみ加賀シリーズ。こちらは完全に推理物で、いわゆるフーダニットが
主題の作品。

一人の女性が殺害され、その兄の刑事がたまたま第一発見者となる。
しかし兄は警察が到着する前に犯人が残した痕跡を密かに隠し、
自身で犯人を見つけ復讐しようと画策する。
警察は自殺と断定し捜査を打ち切ろうとしますが、加賀刑事のみ
事件に疑問を抱き兄の復讐劇に気づいてそれを阻止しようとしていきます。

被害者の兄の気持ちを思うがゆえ復讐をさせまいとする加賀刑事の人柄、
そして刑事である兄による推理過程を存分に楽しめる緻密な作品。
この作品は最後まで読者には犯人を明らかにせず、自分で推理して
真犯人を特定するというユニークな体裁をとっており、読者自身も
文中に出されたヒントを基に事件に挑む醍醐味を味わえます。

私は東野のトリックは個人的に少し合わないところがあるので、
残念ながら犯人は判らずじまいでした。
しかし作品の完成度は高く、推理の為何度も読み返したりして
頭を使う楽しさを味わえる本格推理小説でした。

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2010年06月14日

『悪意』東野圭吾

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『新参者』でようやく市民権を得た、加賀シリーズの10数年前の作品。

ある人気作家が殺害される。捜査線上にすぐに浮かび上がる彼の昔からの友人。
その友人の手記により、事件は早い段階で解決をみます。
しかし逮捕されても動機を語ろうとしない被疑者。
そこに加賀刑事が卓越した推理力で真実に迫っていく・・・と思っていたら、
あっというどんでん返しで見事に裏切られます。

小説の構成が被疑者と加賀刑事の手記のみで進むという点が上手い。
これが巧妙な仕掛けで読者をまんまと迷宮に誘う。
最後の結末に至る過程が実に見事です。
また加賀シリーズはガリレオシリーズに比べ、探偵役の加賀が主張しすぎず
物語の潤滑油として機能するところに妙味があります。

非常に巧みに構成された、完成度の高い作品。
筆巧者の東野圭吾の面目躍如たる作品です。

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2010年05月20日

『トキオ』東野圭吾

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「新参者」を読んで別の東野作品を読みたくなったので購入。
時空を超えて交流する、父と息子の物語。
母親についての描写が少ないので「流星ワゴン」のように
男同士の親子関係を主軸にしたドラマになっている。

何年か前の作品だが、東野らしい巧者ぶりはここでも健在。
推理物から家族物まで実に達者な筆力を見せる。
ただ、冒頭で説明される母親の家系の難病の設定が、
前半以降全く活かされておらず消化不良なのが残念。
特にこの病気でなくてもよかったのでは、と思わせ
かえって取ってつけた感を残してしまった。

まあ、推敲の余地のあるところはありますが、
家族の心の交流を描いたなかなかの佳作ではありました。

トキオだけに(笑)、TOKIOの国分と桜井翔主演によるによるドラマも
評判は上々のようなので観てみたい。

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2010年05月13日

『新参者』東野圭吾

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今ドラマ化されていますね。
ドラマの方は観ずに原作を読みました。

東野作品の人気シリーズのひとつ、加賀刑事が主役による刑事ドラマ。
加賀シリーズは巧妙な構成の推理ものと、加賀の人物像を生かした
人情ものに大きく2分されますが、これは人情ものの代表と言える作品。

ある女性の殺人事件を主軸に、その捜査過程で加賀刑事が出会う
下町の人々の人情物語を上手く交差させた、筆巧者な東野らしい
巧みな構成の小説。
1話1話がひとつの家族の物語の短編として成立しており、
事件の本筋と微妙に絡みながらそれぞれの家庭の問題を垣間見せ、
加賀がそれらのもつれを解すきっかけを与える役割になっている。

面白いのは、物語が進んでいくにつれ見えてくるのが
犯人像や動機でなく、被害者の人柄だということ。
どこにでもいる一人の中年女性の人間像が見えてくるにつれ、
なぜ彼女が殺人事件の被害者になってしまったのかが、
実に不思議に思えてくる内容になっている。
実は作者は執筆開始当時は本筋の殺人事件についての詳細な
設定を考えておらず、書き進めていくうちに事件の骨子を
考えていったらしい。
なるほど納得。

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2010年04月04日

『虹の足』吉野弘

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雨があがって

雲間から

乾麺みたいに真直な

陽射しがたくさん地上に刺さり

行手に榛名山が見えたころ

山路を登るバスの中で見たのだ、虹の足を。

眼下にひろがる 田圃(たんぼ)の上に

虹がそっと足を下ろしたのを!

野面にすらりと足を置いて

虹のアーチが軽やかに

すっくと空に立ったのを!

その虹の足の底に

小さな村といくつかの家が

すっぽり抱かれて染められていたのだ。

それなのに

家から飛び出して虹の足にさわろうとする人影は見えない。


—おーい、君の家が虹の中にあるぞォ

乗客たちは頬を火照らせ

野面に立った虹の足に見とれた。

多分、あれはバスの中の僕らには見えて

村の人々には見えないのだ。


そんなこともあるのだろう

他人には見えて

自分には見えない幸福の中で

格別驚きもせず

幸福に生きていることが—。

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2010年03月31日

『さくら』茨木のり子

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ことしも生きて

さくらを見ています

ひとは生涯に

何回ぐらいさくらをみるのかしら

ものごころつくのが十歳くらいなら

どんなに多くても七十回ぐらい

三十回 四十回のひともざら

なんという少なさだろう

もっともっと多く見るような気がするのは

祖先の視覚も

まぎれこみ重なりあい霞だつせいでしょう

あでやかとも妖しいとも不気味とも

捉えかねる花のいろ

さくらふぶきの下を ふらふらと歩けば

一瞬

名僧のごとくにわかるのです

死こそ常態

生はいとしき蜃気楼と

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2010年03月30日

『生命は』吉野弘

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生命は

自分自身で完結できないようにつくられているらしい

花も

めしべとおしべが揃っているだけでは

不充分で

虫や風が訪れて

めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて

そのなかに欠如を抱き

それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分

他者の総和

しかし

互いに欠如を満たすなどとは

知りもせず

知らされもせず

ばらまかれている者同士

無関心でいられる間柄

ときにうとましく思えることさも許されている間柄

そのように

世界がゆるやかに構成されているのは

なぜ?

花が咲いている

すぐ近くまで

虻の姿をした他者が

光りをまとって飛んできている

私も あるとき

誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき

私のための風だったかもしれない

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『八日目の蝉』角田光代

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壇れい主演によるドラマが始まりました。視聴して彼女の切ない演技に涙がこぼれました。

辛い。

原作を読んだときもそうでしたが、辛くて読むのを辞めようかと思ったのですが
読み進めないと希和子も薫も幸せになれないと思い、原作はなんとか読了しました。
当方、男性ですが女性の悲しみというのが痛いほど伝わってくる物語です。

ドラマ版では恵理菜(薫)の将来の姿が最初から出てきており、壇れい&北乃きいの
ダブル主演の形をとっています。

丁寧な演出のドラマなので、後5回、期待してます。

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2010年03月24日

『悪人』吉田修一

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映画化されることもあり読みました。
吉田修一は以前に『パークライフ』を読んだだけで、これといって印象に残る
作家ではなかったのですが、角田光代と同様に素晴らしい変化をしましたね。

出会い系で知り合った若い男女をめぐる殺人事件の話。
これだけだと血なまぐさい話に思えてしまうが、加害者、被害者、加害者家族、
被害者家族、それぞれの友人・・・などの心理描写を丁寧に描き、事件の背景に
あった人々の人生の悲喜に焦点をあてることにより、単なる刑事事件ものとは
一線を画した人間ドラマとして昇華している。

やはり被害者の両親や加害者の祖母など、近親の人間の心情が辛く悲しい。
残された人間の方が辛いのだということをあらためて感じた。
また主人公である加害者の男には、どうしても感情移入してしまう。
親の愛情に恵まれず、他人と関わることに消極的な生きることが不器用な人間。

タイトルにもあるように、悪人とは誰を指すのか。
いや、悪人とは何ぞや?
殺人は罪である。では、殺人を犯した人間は悪人なのか?
もう少し違った環境で生まれていれば、人の温かみに触れていれば、
支えになる何かがあれば、被害者も、被害者家族も、
加害者家族も、そして加害者自身も不幸にならなかっただろうに。

心が痛くなる作品でした。

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2010年01月12日

『青い鳥』重松清

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中学を舞台にした、ひとりぼっちになってしまった生徒たちと、ある先生のお話。
いじめや家庭問題、児童虐待、学級崩壊、障害など・・・
様々な原因でひとりぼっちになった生徒たちのそばに、村内先生はそっと寄り添う。

村内先生は言葉をうまくしゃべれない。
特にカ行やタ行は激しくつっかえる。

国語教師なのにうまくしゃべれない。
簡単な一文を話すのにも、苦しそうに息を詰まらせて真っ赤な顔になってしゃべる。

だから村内先生は、たいせつなことしかしゃべらない。
押し付けでも同情でもなく、ひとりぼっちな子の側でもう一人のひとりぼっちになる。


「先生は、ひとりぼっちの。子の。そばにいる、もう1人の、ひとりぼっちになりたいんだ。
 だから、先生は、先生をやってるんだ。
 ひとりぼっちが二人いれば、それはもう、ひとりぼっちじゃないんじゃないか。」


涙が止まりませんでした。

「ハンカチ」も素晴らしいですが、「カッコウの卵」は泣きすぎて先が読めなくなり、
何度も中断して読了しました。

思うに、キリストや仏陀なんて人はこんな感じの人だったんじゃないだろうか。
水をワインに変えたり、死んでから遠い未来に復活して奇跡を起こしたりするんじゃなくて。
人一倍、他人の苦しみや悲しみを感じられる人だったんだと思う。

村内先生、僕のところにも間に合ってほしかったよ。
ずうっとずうっと、僕はひとりぼっちのままです。
たいせつなこと、伝えてほしかったよ。

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2009年11月26日

東野圭吾『容疑者Xの献身』

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今更感満載ですが、友人に借りて読みました。
春からの藤沢周平祭りはひと段落したので、密やかに東野圭吾を読んでます。

面白かったですね。やはりこの人は文章が上手い。
そして難しくなく、簡単すぎない絶妙なバランス感で上手くまとめる。
エンターテイメント性も高い。
人気作家かくあるべし。

石神は靖子への無償の愛で献身した、という人が多いが自分はそうは思わなかった。
花岡靖子と美里親子は石神にとって聖域だった。
その聖域を守るためなら、自分を犠牲にするのはなんら厭わないし、
自分の才能を生かして彼女達を守れるのなら、これに勝る光栄はなかったのだろう。
石神にとっては、むしろ感謝すべき出来事だったのだ。

靖子と愛し合いたいとか、自分のほうを向いてもらいたいなんて
石神の念頭にはなかったのではないだろうか。
もちろん、ほのかに心の中に憧れとして抱いていたかもしれないが、
現実にそうなりたいとは思っていなかった。
恐れ多いことだったからだ。
それほどまでに母子のことを神聖視していたと思う。

頭脳明晰なところを除くと、石神と自分は共通項が多く感情移入させられた。
孤独、排他性、厭世観、自己否定、など。
石神も僕も生まれてこなかったほうが良かったと思う。
人間いろんな人がたくさんいて、いいのもいれば悪いのもいる。
誰しも幸せになりたいし、負を背負うのは嫌だろう。
自分を客観視して負の要素を多く感じるなら、わざわざ損な役回りはやりたくない。

できることなら、石神を抱きしめてやりたいと思った。

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2009年11月20日

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介

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会社の人と雑談をしていて、おもしろいから読んでみてと貸されたのだが
目下非常に苦痛な1冊。

つ・ま・ら・な・い。

文章も下手なら嫌悪感を感じる描写も無意味、キャラクターに厚みもなければ
物語の進み具合もトロい。
奇抜な作風で人気?の作家だが力量不足も甚だしい。
はっきり申し上げて才能ないと思う。

全然読み進まないので、会社の人と顔をあわせ辛い・・・

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2009年08月17日

『星守る犬』村上たかし

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ハッピーが、おとうさんが可哀相で大泣きしました。
切な過ぎる・・・
おとうさんの末路は、なんだか自分の将来を見ているようで
胸がつぶれそうでした。
今のままだと、人知れず孤独に死んでいくと思うので。

後日譚になる向日葵を読んで、少し救われました。
決してふたりは不幸せではなかったと。

ハッピー、おとうさんといっぱい散歩してるといいなぁ。

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2009年08月01日

『プルートゥ』を読み終えて

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深く感銘を受けた。
ロボット達の生き様に何度も何度も涙を流した。

生命を持たないロボット。
心を持たないロボット。

果たしてそうだろうか?
昔の人々は、物にも魂が宿ることを知っていた。
古い伝記や言い伝えにそんなエピソードがたくさんある。

科学が発達した現代人は、何かとても大切なものを見失ってはいないだろうか?
私自身、見失っていた何かに気付かせてもらった。

浦沢直樹、そして手塚治虫。
偉大なる作家によるコラボレーションはここにひとつの記念碑を記したと思う。

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2009年07月21日

『PLUTO』浦沢直樹

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完結を受けて読み始めました。
(浦沢作品は完結してから読む、と決めております
 最初の緊張感を持続して一気に読むのが醍醐味!)

うーん面白い。

うちの母親なんかは、マンガは子供の読むもので
いい歳していつまでそんなもの読んでるの、という感じだが
果たしてうちの母親にこの重厚な世界観が理解できるだろうか・・・

それにしても浦沢アレンジは素晴らしく光っている。
特に7強ロボットたちが持つ悲哀は原作にはないものだ。
とりわけ原作になかったノース2号のエピソードに胸が熱くなった。
ロボットが音楽に興味を示すエピソードは、原作ではまた別の巻で
アトムにて描かれているが、浦沢の方が悲哀がよく滲み出ている。

まだ読んでいる途中なので、この後が楽しみ。
やはり浦沢直樹は油断できないなぁ。

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2008年06月15日

『流星ワゴン』重松清

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38才のカズオは息子が不登校になり、妻から離婚を迫られ
そしてリストラに遭い職を失った。
死んでもいいかな、そんなふとした気持ちから現実とも夢ともつかぬ世界に迷い込む。

そこにあったのは、交通事故で亡くなった見ず知らずの親子が乗るワゴン。
幽霊とはおもえない明るさの彼らに導かれ、家族の分岐点になった過去を再び経験する旅に出る。
今は長くわだかまっていて、死を迎えようとしているはずの父親とともに。

カズオと息子の広樹、父親とカズオ、そしてワゴンを運転する親子。
その3つの父子の成り立ちが三様に描かれており、それぞれの人生を追想していく。
人生の後悔を埋め合わせていくかのように。

旅が終わっても、何も変わらない。現実は厳しいまま。
いや、ひとつだけ変わる。自分のこころだけ。

本を読んでるあいだ、終止泣きっぱなしだった。
やはり男性に読んでほしい本。

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2008年06月08日

「西の魔女が死んだ」梨木香歩

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映画で話題になってたので、めずらしく便乗して読んだ。

中学生になったばかりのまいは、とあることから学校にいけなくなり
母方のおばあちゃん家でしばらく暮らすことに。
イギリス人のおばあちゃん(日本在住が長いので日本語は堪能)と
野いちごのジャムを作ったり、たらいで足踏みで洗濯したり
自然の中で穏やかな生活をすることで、人間本来のリズムを取り戻していく。

情景豊かな風景の描写や、おばあちゃんの素朴でおいしそうな料理が
読み手のこころをも洗うような、穏やかで暖かい物語。
号泣しました、って感じではなくじんわり胸が暖かくなる。

映画の予告編を見ると、サチ・パーカー演じるおばあちゃんが
まるで小説から出てきたようにぴったりのイメージで、思わず胸が熱くなった。

もうすぐ公開なので、楽しみ。

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2006年08月16日

読書

時間があったので、毛色の違う本を3つ読む。
それぞれ映画化されたりドラマ化されたりして有名なモノだけど、機会に恵まれず読んでなかったので。

「最終兵器彼女/高橋しん」
北海道の高校に通う男の子と女の子の、こそばゆくて不器用な恋愛のオハナシ・・・が一転、とんでもない方向に。
ちっちゃくてどんくさくてチョー癒し系の彼女が、実は国家存亡の鍵を握る軍事兵器だということを知る彼氏。

まず、プロットが素晴らしい(笑)。水と油みたいな要素をよくひと作品にいれたことに座布団1枚。
「BOYS BE・・・」的なほんわかムードに、いきなり皆川亮二みたいな設定が切り込んでくる。
戦争の悲惨な部分と、学校生活ののんびりした部分の対比が生きてる。
いいすね・・・。男子は間違いなく好きな話でしょう。


「クロサギ/黒丸・夏原武」
世の中には3種類の詐欺師がいる。人を騙し金を奪う「白鷺」、異性を騙し弄ぶ「赤鷺」、そして詐欺師のみを騙して喰う「黒鷺」ーーー詐欺によって無理心中のなか生き残った主人公が、復讐のために黒鷺となる物語。

裏社会マンガは結構好きです。福本伸幸なんか好きな人にはツボな作品。こういうの読むと、法律ってホントに良くできてる(悪い意味で)と思う。
法は正義の味方ではなくて、それを上手く利用する者のためにある。
よくできた物語だけど、個人的には「金と銀」みたいな緊張感があったほうがもっと好みかな。


「20世紀少年/浦沢直樹」
「MONSTER」に続く、浦沢直樹の長編サスペンス。ようやく読み始めました。
1970年代初頭に少年時代を過ごした男たちが、謎の事件に巻き込まれてゆく。少年時代の空想が、想い出が、現実の事件とリンクしてゆく。果たして“ともだち”の正体とは・・・

まだ読み始めですが、さっそくワクワクしてきました。巧妙な伏線、予想外の展開、人間の心理の裏側をえぐった描写は、「MONSTER」で感じた手応えと同じ。
やっぱりこの人は現代最高の作家の一人に数えられますね。先が楽しみ!

投稿者 metalx : 01:06 | コメント (0) | トラックバック

2006年05月20日

ナウシカ1

貸してたナウシカが却ってきたので、ひさびさに読む。


最初のころのナウシカは、失敗も多いけど志が高いな。まだ、おのが業に気づいてない感じ。


人間はほんと経験が足を引っ張るなぁ☆


若い頃の無邪気さと、パワーは世間知らずゆえ。
そこが若さの魅力だ。


年とると、過去がほんと邪魔をする。

投稿者 metalx : 02:14 | コメント (1) | トラックバック