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2005年07月13日 | 日陰の本棚

【泥棒日記】勝手に夏休みの課題図書指定

ある作家の自伝。
若き日の
盗みと放浪の日々をつづった日記であります。

彼の名は、ジャン・ジュネ。

1910年パリ生まれ。
父はわからず。
子育て放棄した娼婦の母に捨てられ
生後7ヶ月で生活保護局へ。
その後、職人の家に養子にだされ
学校では成績トップだったのに、
養父母の元を離れて職業訓練校へ。
で、10日で脱走。
盗みを働き、15歳で少年院へ。
で、脱走。
勧奨金目当てに軍隊へ入隊。
で、脱走。

男娼や窃盗をなりわいにしつつ、
偽パスポートでヨーロッパ中を放浪。
逮捕→出獄→また逮捕→出獄→
またまた逮捕→出獄.....の繰り返し。
そんな獄中生活の中でジュネは文章を書きはじめます。

てゆーかジュネさん!
あんた30過ぎまでずうっと泥棒&放浪生活やん!

「悪」に向かったきっかけは、
ほっぱらかされた両親や、のけものにした社会に対する反抗?
にしては、「泥棒日記」に悲壮感は全くないし....

「泥棒をした動機は、まず第一に食べるため」
と彼はいいます。
「社会に対する反抗心や怨嗟、憤懣それに類する
感情からではない」と彼はいいます。

食べるためのお金が必要なら、働けばいいのでは....?

いいえ。彼にとって泥棒は、男娼することは
単にメシの種だけではなかったようです。

「英雄的な冒険を探し求めていたのではなく、
最も美しい、最も不幸な犯罪者たちとの
同一化を追い求めていた」

恋に落ちちゃったんですね。彼は。
10代の頃、少年院で。
「おまえは泥棒だ」と宣言された瞬間から。

汗と垢とシラミと精液と臭気にまみれた、
ごみための、汚濁まみれの、悪の世界に。
恋を。

罪を犯すのが好きな異常者
というのではありません。

人は、幼いころから
「善」と「悪」があることを教えられますよね。
「善」をすると、大人からほめられる。
「善」=きもちいいこと。はればれすること。
すがすがしいこと。うきうきすること。
となる。

ふつうの人が、「善」で感じる感覚が、
ジュネにとっては、たまたま、
「悪」で感じる時の感覚だった。
のではないかなと。
思うわけです。

「善」=自分や、世の中にとってきもちいいこと
「悪」=自分や、世の中にとってきもちのよくないこと
だとしてみましょう。

世間一般常識ではそうでも、
(この常識ってうヤツがくせものですが)
ジュネにとっては
「善」=きもちのよくないこと
「悪」=きもちいいこと
だったのではないかと思うわけです。

ジュネの孤独な魂が、ゆいいつ
のびのびと呼吸できる場所。
同化することで、孤独がやわらぐ場所。
それが「悪」だったのではないかと。

これはですね、いっぺん読んでみてください。
夏の課題図書に指定します!
自分のたっている地面が、
ぐるりん!
とひっくりかえることうけあい。

(余談)文中に出てくる、ジュネの想い人
泥棒稼業のスティリターノが、むちゃくちゃ格好いい!
映像化の際は、ぜったいヴィゴ・モーテンセンです。

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