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おじいちゃんおばあちゃん LineUp

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2004年12月16日

おばあちゃんが眠るとき

わたくしのおばあちゃんはある宗教に入信していました。
いわゆる新興宗教のたぐいではなく、
お不動様を信仰する宗教グループ。
四国に本山をかまえ、全国に別院を持っています。

おばあちゃんは若い頃からリュウマチを患っておりました。
いろんな病院を渡り歩き、いろんな薬もためしたけれど
どれもだめ。
最期にすがったのが信仰だったのかもしれません。

そんな、信仰心の強いおばあちゃんのもとで
わたくしは育てられました。

わたくしが小さい頃、おばあちゃんと一緒に
寝ていたのですが、おばあちゃんは布団に寝転がってから
「おやさまありがとうございます。
ご先祖さまありがとうございます。
父上さま母上さまありがとうございます。
今日も一日生かさせていただきました。
ありがとうございます」
と毎日お祈りしていました。

お祈りの後は、きまっておばあちゃんのミニ説法がはじまります。
「どんな親でも親は親。親の悪口はぜったい言うたらあかん」
「雨風がしのげる屋根さえあれば、人間なんとでもなる」
「せまいこころではあかんの。もっとこころをどーんと大きくもちなさい」
「一木一草にも魂がある。そまつにあつかったらあかんの」
「慈悲のこころが大切」「感謝のこころが大事」
「ほしいほしいではあかん。自分からほどこさないと」
「人の悪口はけしていうな。自分にかえってくる」
「ひとりで生きとんやないの。
いろんなひとのおかげで生かされとるんやで」

うとうと眠りにつきながら聞いていた記憶があります。

おばあちゃんと、よくお墓参りにいきました。
家から少し歩いた山のふもとに、お墓はありました。
歯ブラシとタオルでお墓についた苔を掃除しながら、
ぴかぴかにしていきます。
「ご先祖様も気持ちええなあっていうてるわ」
掃除が終了すると季節のお花とお線香をあげます。

わたくしが字が読めるようになったころ。
お墓に書いてある戒名の中に、知らない名前をみつけました。
おんなの人のようでした。
「それは先妻さんや」とおばあちゃんがいいました。
おじいちゃんがさいしょに結婚したおんなの人でした。
けれど、不幸にして若くして亡くなってしまったのでした。
「ちゃんとまつってあげなあかんのや」
と言って、おばあちゃんは手を合わせました。

お墓の横に小さいお地蔵さんがたっていました。
「これはなに?」
「おばあちゃんのこどもや」
「おばあちゃんのこども?」
「最初に生まれたおとこのこは、1歳にならずに死んでしまったの」
「ふーん。わたしのお母さんにはおにいちゃんがおったんや」
「そう。ちゃんと名前もあるんよ」

ご先祖さまや、先妻さんや赤ちゃんや、
いろんな人の思いが、明るい太陽の光さすお墓
いっぱいに満ちていました。
お墓はいろんな人と出会える場所でした。
おばあちゃんとわたくしはお墓参りが好きでした。

今年の夏、そんなお墓におばあちゃんが入りました。
もうすぐ会いにゆきます。

2004年12月10日

おばあちゃんの服(その1)

おばあちゃんがだいすきです。おじいちゃんもだいすきです。
とくに、わたくしのおじいちゃんと
おばあちゃんが大好きです。

おじいちゃんとおばあちゃんの出会いは、
ふたりが勤めていた会社でした。
おばあちゃんはその会社のミスコンで優勝した別嬪さん。
おじいちゃんのひとめぼれだったそうです。
(別嬪の血がなぜわたくしに受けつがれなかったのか...)
人づてに告白して結ばれたそうです。

おじいちゃんは戦争に行き、
流れ弾が首に入ったまま、帰ってきました。
おじいちゃんが療養中、おばあちゃんは2人の娘を育てるために、
ゴルフのキャディーさんをしました。
その頃のゴルフはお金持ちの趣味。
楽しむ人たちの後を、重い荷物をせおって必死で歩いたそうです。
それでもお金がたりなくって、
それでも娘たちにきっちり食べさせるために、
自分はご飯に塩をかけて食べていたそうです。
「だから私はゴルフが嫌い」と、
わたくしによく言っていました。

「いくらお金がなくっても、
さっぱり清潔な服装をこころがけなさい」
これがおばあちゃんの口癖です。
おばあちゃんは、娘2人に既製品ではなく、
洋服屋で仕立てた服を着せました。
2枚買えるお金があったら、
1枚品質の良い服を買い、大切に大切に長く着る。
そのポリシーは
わたくしを育てる際にも貫かれました。

おばちゃんのタンスの中には、
着物を仕立て直したスカートや、ブラウスを利用したスカーフが、
きれいに整頓されしまわれています。
子供のころわたくしは、タンスをあけては
1まいづつとりだし、もともとは何であったのかを
おばあちゃんと一緒にあてっこしました。
白い着物から仕立て直した、白の上下のスーツ。
雪のように淡く明るい色合いのスーツが、
おばあちゃんのお気に入りのひとつだったと記憶しています。

家の中でも外でも、こざっぱりと清潔な服装。
その上からはおる白い割烹着がよく似合う人でした。

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