去年チラシをもらい、1月に劇場で宣伝を観てからずーっと楽しみにしていた映画『かもめ食堂』を観に久々に銀座へ向かう。19時半からの上映で、ここの映画館は最近ではめずらしく座席予約制度や整理券制度を導入していないというところがいまいちなのだけど、今週末でまたいろいろ大作も公開されたし、そんなには混雑していないだろう・・・と、たかをくくりつつ、それでも50分ほど余裕を持って会場に着いた。
ところが!
着いてみるとそこには「連日大混雑のためご迷惑をおかけしています」という貼り紙が出され、不安になりながら地下への階段を降りると、そこには既に何十人もの列が・・・。混雑具合を見てから隣のブティックでもひやかしにいこう、なんて気軽に目論んでいた我々の計画はもろくも崩れ去り、その階段で開場まで並ぶことに。まったくもう、制度がなんとかならないかね~~、とブツブツ言いながら、読みかけの単行本を片手に、周りの期待度が凄く凄く高いということを感じながら待つこと30分。
原作が群ようこ、キャストが小林聡美・片桐はいり・もたいまさこ、という個性派女優三人、邦画初のオールフィンランドロケ、などというそそられる要素が満載のこの映画、結論から言うと、かなり面白かった!!全編を通してクスクス笑ったり、館内のお客さんと一緒にどっと笑ったり、終始顔がゆるみっぱなし。映像もすごくきれいで、フィンランドののんびりとした雰囲気と色合いがなんとも可愛らしい街並みや、食堂のインテリアや食器、三人の着ている服などのセンスの良さに心を奪われっぱなし。何よりもこの三人が、限りなく演技ではないように自然に演じている女性像に、「普通に生きていること」がじゅうぶんステキなんだなぁとあらためてグッときた。そして気付いたらもうエンドロールで(ここにまた井上陽水の曲がしっくり合っているのだが)、拍手さえ贈りたいくらいの2時間弱はあっという間に終わった。
我々が着いた時点で既にパンフレットは売り切れており、映画が始まる前にムーミングッズなどをちょっとチェックしてキャンディを買ったけど、関連本買えばよかった。(原作は先立って購入済みなのでこれから読む)。チラシを見ると、どうやらイルムスやピカソルでコラボグッズやお菓子も売っているらしい。うう、欲しい。まずはお店で展示されているところを見てみたい。
映画自体、DVDになったら手元に持っておきたい!と強く思った。まぁ、自分は基準にならないが、女性が所有欲をそそられる映画ってなかなかないと思う。でもこの映画は、カフェ好き・雑貨好き・おしゃれ好きな女性たちにすごく刺さるはず。ぜひ、可愛いグッズを特典でつけてほしい。ミニサイズのメニューとか、食堂のレシピとか、サチエさんのエプロンの模様のハンカチとか、ていうか、特典と言わずとも、別で売ってたら買ってもいい。
観終わって既に21時半。食欲が刺激されてしょうがなかった我々は、近くで見つけた飲み屋に入り、唐揚げその他をむさぼること一時間強。ラストオーダーまでひたすら食べた。いろいろ書いたけど、結局のところ、本当に、食欲が刺激される映画。おすすめ。つい長く書いてしまった。
次は、この女性監督・荻上直子さんの前の作品も(『バーバー吉野』『恋は五・七・五』)もぜひ観てみようと思う。
そうそう、後で思い出したのだけど、「バザールでござーる」「だんご3兄弟」などでおなじみの佐藤雅彦さんが撮った映画『kino』にも少し通じるものがあった。これもだいぶ前DVDが出ているけど、オススメです。