WALE〜ほっこり、にっこり〜

映画「初恋」は、三億円事件の犯人が18歳の女子高生だったという視点から描かれた
中原みすずの小説を映画化した作品。映画は6月10日公開で、宮崎あおいが主演。
今からとても楽しみだ。
三億円事件は話としてきいたことがある。
詳しく知らないのでこの機会に知ろうと思う。

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この事件の真相は２１世紀をむかえた今もまだ謎のまま。

1968年(昭和43年)12月10日9時25分頃、東京府中刑務所横の、北側外塀監視所のそばで、東芝府中工場の従業員のボーナス、2億9430万7500円の現金をのせた、日本信託銀行国分寺支店の現金輸送（セドリック）が白バイの警官に停止を命じられた。

警官は「現金輸送車に爆弾が仕掛けられたという電話があったので調べます」と言って、乗っていた銀行の係員４人を降ろし、車の下に潜り込む。しばらくのち警官は慌てて出てきて「爆発する。危険だから下がって」と叫ぶ。車の前の方から赤い炎が吹き出すのが見えた。

４人が刑務所の壁のあたりまで下がると、警官は運転席に乗り込み、車をスタートさせた。４人は車を安全な所へ移動させるのかと思って眺めていたが、車はそのまま走り去り、見えなくなってしまった。その時４人は初めてこれが何か自分たちが思っていたこととは違うことに気が付いた。

一人が、すぐそばの刑務所監視所に向かって「現金輸送車が盗まれた!」と叫び、それを聞いた刑務所職員が１１０番通報。警視庁はただちに緊急配備を敷いたが、事件から１時間後、問題のセドリックは2.5km離れた場所で発見された。

その後、目撃者の情報から犯人が白いカローラに乗り換えたことが分かり、警察はこのカローラを探しましたが、数日後、これも乗り捨てられているのが発見された。犯人は結局セドリックからカローラ、そしてその後の逃走用の車と10分単位程度で乗り継いで逃げていたのだ。その後犯人の行方はようとして知れず、そのまま７年後時効になってしまった。

犯人が使用した白バイに見せたバイク、逃走に使用したカローラはいづれも盗難車だった。当初バイクを白バイに見えるように塗装するのは、専門的な技術が必要なのではないかと、自動車塗装関係者がかなり調べられたが、その後実際の塗装技術は素人の腕であったことが分析の結果明らかになった。（なお、犯人が見せた炎は発煙筒を焚いたものだった）

現金輸送のスケジュールをよく知っていたことから銀行の関係者、オートバイ・車をたくみに操り現場付近の地理に精通していたことからその付近のカーマニア、などなど実に多くの人々が取り調べられたが、犯人の見当は全く付かなかった。

数年後に１度だけ、一人の青年が別件（マンホールのふたを盗んだ容疑）で逮捕され取り調べられ、マスコミが騒然となったこともあるが、結局彼は無実だった。

当時、この事件が世に与えた衝撃は激しいものだった。その大胆かつ巧みな手口も素晴らしいものだったが、当時３億円というのは、まさにとてつもないお金だった。この事件の数年前に有名な「吉展ちゃん誘拐事件」が起きた時、犯人が要求した金額は５０万円。

この盗まれた現金は新札であったため、番号が控えられていた。警察はそのナンバーの紙幣が出てきたらそこから何とかたどろうと待っていたが、結局この番号は１枚も出てこなかった。つまり犯人は盗んだ３億円を全く使わなかったことになる。

この事件は強盗ではなく、窃盗。

ナイフでも突きつけて「金を出せ」と脅して奪ったのなら、奪った金額がたとえ１００円でも強盗になって罪は重いが、この事件の犯人は銀行員の虚を突いて現金を奪っていったわけで、何らの危害も加えていないので、強盗よりずっと罪の軽い窃盗になる。

犯人は白バイのヘルメットをかぶっていたため、その容貌もよくわからなかった。この事件から７年間、全国の交番やお風呂屋さんに、ヘルメットをかぶったモンタージュ写真が張り出されてた。（この頃はお風呂屋さんが最も多くの人の目に触れる場所だった）この事件は「モンタージュ」
という言葉と「カローラ」という車を有名にした。

警察の必死の捜査にも関わらず犯人が全く浮かんでこないため、巷では色々と無責任な犯人像の想像も行われた。曰く、左翼の過激派が資金作りのためにやったのではないか。曰く、売れない推理作家が自分の考えたトリックが可能かどうか実験したのではないか。これを題材にしたテレビドラマや
推理小説も多数発表されているが、実際の犯人はそういったドラマや小説の中の犯人よりずっと賢く行動したようだ。

この事件は昭和の事件史の中で最大のミステリーのひとつとして残されることになった。